ここは日本から遠く離れたケルンの街。
ここに、ある夢を描く日本人がいた。
「2030年サッカーW杯で日本を優勝させる」
彼の名は、宮沢悠生。
果てしない夢だと笑う人もいるだろうが彼の眼は真剣だ。
彼と出会ったのは、小学5年生。
桂坂という京都の田園調布、芦屋とも言うべき(言い過ぎ)育ちの良い街に、恋愛という2文字を持ち込
んだ生粋のストライカータイプの少年時代だった。
そしてもう一つ、サッカーに対する熱い想いをこの街に持ち込んだ。
そして、桂坂サッカー少年団に入団。
当時の桂坂サッカー少年団は、選手は粒ぞろいだったが、サッカーを純粋に楽しみ、わいわい仲良しで
はあるが、勝利に対する執着心はないに等しく、負けても笑ってるそんなチームだった。
そんなチームが彼・宮沢氏は許せなかった。
入団早々、持って生まれたサッカーセンスと努力もあってGKからFWまでこなし、プレーで引っ張る
彼。ただチームは中々勝ちにこだわる強いチームへと変わらない。
私もキャプテンとして、その想いは理解しているつもりだったが、うまく融合できずにいた。
そして、京都の人なら誰もが通る、サンガカップ。
接戦の戦いはPK戦へ。結果は、宮沢氏、チームメイトが外し、惜しくもPK負け。
その時、外した他のチームメイトは笑ってごまかしている中、外した宮沢氏は声を殺し泣いていた。
この時、彼のサッカーに対するたぎるような情熱を改めて感じた。
私はこの時、ふと、
「彼は絶対サッカーの世界で活躍する」
そして、彼がサッカーで活躍する為にチームとして結果を残そうと。
小学校から、ほぼ同じメンバーであがった中学時代。
先生からの指導はほぼ受けなかったが、自分たちでうまくなるため、強くなるため、単調な練習を止め、工夫をし、チームとしての力をあげていった。
そして、京都のカップ戦を優勝するまで強くなれた。
ただ宮沢氏がこの時点で日の目を浴びることはなかった。
そこから彼は、公立の桂高校で努力し続け、クラブチーム出身が多い中レギュラーを獲得。
3年時には、選手権京都予選決勝進出。
大学時には、創立5年で関西リーグ1部優勝という快挙、サッカー部副キャプテンとして200人以上の部
員をまとめ、4年時には指導者としても結果を残し、後輩からも慕われた。
卒業後、半年資金を貯め、単身サッカー先進国ドイツに乗り込んだ。
言語・文化の壁がある中、サッカー指導者国際ライセンスを獲得。
ブンデスリーガのトップチーム・シャルケなどが揃う世代別(U-14)のトップリーグで唯一街クラブからトップのリーグへと昇格を果たすなど、指導者としての地位も確立している。
また、今年(2013-2014年)からは、ケルンに所属する長澤和輝選手(専修大→ケルン)の通訳をし、戦術面、メンタル面含め、サッカーに対する多くの知識が監督と選手を円滑につなぎ、チームに貢献。
結果、長澤選手はシーズン後半戦からレギュラーとして活躍し、ドイツ2部優勝に貢献しました。
(その後、今シーズン・2014-2015年は、通訳に集中。長澤選手とサッカー日本代表大迫勇也選手の通訳をしています)
とプロローグはここまでにして、宮沢氏のケルン生活に密着しました!
宮沢氏のメインはなんといっても指導です。
彼がメインで指導するU-10年代。
ブンデスリーガのケルンのメインスタジアムRhelnenergle Stadionのの横にある人工芝グランドで行われます。
練習を多くの保護者が見守ります。プレッシャーもかかる中、堂々とドイツ語で指導します。
彼の指導で印象的なのは、あいさつ。
彼を取り巻く全ての人が握手してしっかりと挨拶します。
また、彼の指導はとにかく声が響きます。選手同士、選手とコーチ。遠くにいても彼の声は聞こえます!
またU-14年代は場所を少し移し広いコートで。世代に合わせた声かけと、しっかりと選手の模範となり指導をする宮沢氏。
体も心も日本にいた頃より、一回りも、二周りも大きくなっていました。
またサッカーへの強い想いと、知識、実践力・・・
それが垣間見えたのがブラジルW杯観戦中。
ほぼ全ての試合でメモ片手に食い入るように観戦し、試合を分析。
それぞれのチームの特徴、攻撃時、守備時のそれぞれの戦術、的確に指摘している様は、解説者・カーンにも勝っていました。
それだけサッカーに全てを注いだドイツでの7年間だったんだと、立ち居振る舞い。一種のオーラのようなものを感じました。
特に日本戦での彼。日本に対する愛と感情むき出しで応援と指摘を繰り返す彼は、凄みしか感じませんでした。
そして、今シーズン通訳に専念する為、ドイツに来てすぐの頃から指導していた前述したチームを離れる、お別れ会に潜入。
異国のサッカー後進国と見なされていた日本の若者が、ここまで信頼されるのか。
それが十二分にわかるお別れ会でした。
保護者の方が涙ながらにハグしている姿、私ももらい泣きしそうでした。
それだけ真摯に子ども、保護者、サッカーと向き合い、本気で育成に取り組んだ結果なのでしょう。
そんな彼の周りには自然とサッカーへの情熱を燃やす、仲間が集まります。
世界一の負けず嫌いの彼ならやってくれる、やってほしい、そう思わせてくれました。
彼・宮沢氏はまだまだ情熱的に走り続けます。
世界一を目指して!!
頑張れ、宮沢!!本気で応援しています。
恋愛面も応援中です!笑
またフットサルしよう☆
次回は、ドバイ編。
灼熱の近代都市、ラマダーン(断食月)の中何が起こるか?
乞うご期待!!